チャンパ王国の遺跡「ポーナガル塔」は意外と見ごたえあり!

ヒンズー様式の巨大な祠堂が並ぶポーナガル塔
ポーナガル塔は外国人観光客でいっぱい
怪しい天候のなかポーナガル塔に行くことに決め、サンライズニャチャンよりタクシーに乗り込みました。
過去のベトナム旅行ではバイクタクシーやシクロは料金交渉がめんどくさかった記憶がありますが、タクシーはちゃんとメーターが付いていて、メーターを倒す倒さないで揉めることもなく、必要以上に遠回りされたり、変なツアーを売り込まれたりすることもなく、至って普通に移動することができました。(当たり前のことですが、つい本能的に警戒してしまいます、、)
距離的には近いので10分ほどで到着。ポーナガル塔の前の停車スペースでタクシーを降りました。思っていたよりめちゃめちゃ観光客がいます。昨日のニャチャン大聖堂も賑わっていましたが、やはり台風でビーチが遊泳禁止になっているせいか、俄然観光スポットが賑わっています。
ちなみに不透明なニャチャン大聖堂の入場システムとは異なり、ポーナガル塔は公式に入場料が必要です。無料だか有料だかわからないより、はっきり有料のほうがありがたいよね。。

丘の麓から見上げたポーナガル塔
約1200年前に建てられたポーナガル塔
ポーナガル塔はかつてこの地を治めていたチャンパ王国が建てたヒンズー教寺院の遺跡です。中国文化の影響が強そうなベトナムでなぜヒンズー教?という感じですが、お隣のカンボジアもアンコールワットに見られるようにかつてはヒンズー教でした。
インドシナの歴史には全く詳しくないのですが、Wikipediaによるとチャンパ王国が誕生したのは西暦192年。当時漢の支配下にありましたが、この年「林邑国」として独立したのが始まりだそうです。西暦192年の漢と言えば、献帝の時代、ちょうど董卓が呂布に暗殺された年です。漢王朝は完全に崩壊状態で、曹操や袁紹らの群雄が割拠し始める時期で、チャンパがこの頃に誕生したというのも頷けます。
その後7世紀から13世紀ごろにかけてチャンパ王国の全盛期となり、ポーナガル塔が建築されたのは8-9世紀ごろと推定されています。
11世紀から12世紀ごろにはカンボジアのアンコール王朝と戦争を繰り返し、アンコールワットにもチャンパ軍の姿が描かれていたりと、一時はアンコール王朝と肩を並べる強国だったようです。

ポーナガル塔の下には石柱が並ぶ
今も参拝者が絶えない寺院としてのポーナガル塔
そんな隆盛を誇ったチャンパ王国の遺跡、ポーナガル塔。ガイドブックなどではさらっと紹介されてますが、想像以上に見ごたえがありました。
もちろんアンコールワットのような規模ではないのですが、あそこまで広いと、最初は「おおっ」となりますが、後半は感覚が麻痺してきてどれも同じに見えてきます。
(アンコールワット旅行記は過去記事参照)
その点ポーナガル塔はおおっと感が持続する程度の規模なので、テンションを保ったままコンパクトに見学することができ、特にインドシナの歴史やヒンズー文化に興味がない人でもシンプルに楽しめます。せいぜい1時間もあればじっくり見て回れるでしょう。
祠堂の内部は靴を脱いで入ることができ、中にはあまりヒンズー教っぽくない、どっちかというと仏教の菩薩像っぽい神様も祀られています。
塔の前にはお供え物もあるのですが、インドのスパイシーなお供え物とは違って、ごはんとおかずがずらり。これもなんだか仏教っぽく、インドから形を変えながら伝播したヒンズー教の最終到達点という感じがしました。

ポーナガル塔の祠堂は中に入ることができる

祠堂の前のお供え物。なんかヒンズー教っぽくない・・・
ちなみに、ポーナガル塔を作ったチャンパ王国はチャム族の王朝で、現在のベトナム人の多数を占めるキン族とは民族が異なり、宗教も建築様式も現在のベトナムとは全く異なるので、ニャチャンの町並みの中でものすごく唐突感というか違和感がありますが、そこがまた妙に迫力があっていいのかもと思いました。
なお、ポーナガル塔の見学中、ついに小雨が降り出しましたが、ホテルで傘を借りて来ていたので濡れずにすみました。